「ああ、これは断りなんだな」と思いました。
不採用になるのは構わない。
ただ、ここまでお膳立てしてくれた担当コンサルタントの手前、いいたいこともいわずに帰るようなことだけはしたくありませんでした。
自分自身を励ましながら、Kさんは人事部長が提示した三つの条件について、自分なりの意見、またご自身がそれぞれのテーマについて、前職のなかでどのように取り組んできたかを懸命に語りました。
するとそれを聞き終わった部長がKさんの履歴書に再び目を通しはじめます。
それまでの張りつめていた空気が和み、部長は、業界のこと、会社のこと、社長のことなどを、話してくれました。
Kさんの心のなかでも、先方の部長に対する親しみと尊敬の念が湧いてきて、「できることなら、こういう部長の下で働きたい」とさえ思うようになっていったといいます。
打ち解けた雰囲気で面接を終えることができましたが、採否について自信は持てませんでした。
不安な気持ちで待つこと二日、人事部長から「役員面接をしたいから」という連絡をいただいたのです。
小躍りしたくなるくらいの嬉しさだったと振り返ります。
「自分にとってはまったく未知の業界で、少しでも自分というものが認められたことが、まずなによりも嬉しかった」役員面接はほんのわずかの時間で終わりました。
人事部長としては、すでに採用を決めており、役員がKさんの人物を最終確認するためだけのものでした。
いろいろな紆余曲折はあったものの、結果的には、わずか三社目の応募で再就職を決めることができたわけです。
求人が低調で、再就職するまでは何十社と応募することがまったく珍しくない時勢においては、「きわめてまれなケース」といえるでしょう。
Kさんは振り返ります。
「もしも自分一人だけで、再就職活動を進めていたら、同じ業種の同じ職種しか目に入らなかっただろうと思います。
絶対に、保険会社ばかり応募していたことでしょう。
それが自分にとっては一番安心して行ける道だから」担当コンサルタントとの交流や、LCAで経験したグループカウンセリングによって、それまで自分自身も知らなかった自分のいろいろな面に気づかされ、間口を広げることができたといいます。
Kさんはいまも、管理部で人事関係の仕事をしています。
「いろんなことをやらせてもらえるので、いまはとてもやり甲斐を感じています」と語るKさんの表情からは、充実感が見て取れます。
「総務とか人事という職種は、業種が変わっても、仕事の中身自体が、それほど大きく変わるわけではありません。
だから違った業種でも、スムーズに適応できたという面はあったと思います。
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